地元不動産屋のレアな物件(2002/08/18一部修正)

 だいぶ前の事になりますが土地取得にまつわるお話です。

 その日いつものように、朝郵便受けの新聞を取りにいきました。お目当ては新聞の折込チラシです。新聞の折込チラシは地元の情報が細かく出ていますので毎週末見ていました。近所の不動産屋も店舗の前に広告を出す前に新聞の折込チラシで宣伝するのケースが多く、結構あなどれないのです。ちょうどその日も、朝から「
渡辺篤史の建もの探訪」を見ながら物件広告を見ていました。
 その時でした。白黒の冴えないA4サイズの「いかにもというチラシ」が目に飛び込んできました。同じ町内で「37坪、○○○○万円!」の文字。しかも不動産屋が売主なので媒介手数料なし。この辺りでは破格であります。「いくらなんでも安過ぎる」これが第1印象でした。

 【もともとここは2線2駅利用(徒歩2分・9分)で交通の便が良く、近くの商店街やスーパーも充実しており、それでいて以外と静で住みやすいところです。大きな公園や児童館・遊歩道が整備されいたりと公共施設も充実した非常にインフラの整ったところであります。詳しくはこちらをどうそ。】

 思い立ったら吉日。すぐ駅前の地元不動産屋に電話し現地へ案内してもらいました。広告を出した初日のしかも一番はじめに私がひっかかりました。現地到着すると、そこはなんと今の借家から歩いて3分の場所でした。場所は駅から近く今と同じ生活環境なので全く問題はないのですが、その土地には一つ大きな問題がありました。それは土地の東側が線路の土手に面していることです。「やっぱりなぁ」と思いました。価格的にはお隣埼玉県の狭山・入間地区レベルの金額でしたので何かあるとは思いましたが。それにしても「線路沿いなんてチラシには一言も書いてないぞ!」激怒しました。(安いから当然ですけど)但し救いなのは、線路が単線で本数が少ないのと、駅が近いので電車が減速して通過するので音は思ったより静かなことでした。しかしながら、やはり抵抗がありましたので、担当者にその旨を話しとりあえず連絡先だけを伝え一旦家に戻りました。

 家に戻り、このことを妻に話すと、「今見に行きたい」と言いだしました。歩いて3分のところですから家族3人で見に行きました。妻も自分と同じようにがっかりするだろうと思ったのですが、意外や意外「なかなかいいわね」の一言。「電車の音だけなら問題ないよ」と返ってきました。

 まったくもって不思議なもので、こんな土地でしたが人から「良い」と言われると良く見えてくるから不思議です。こんな土地ではありますが見方によっては良く見えてきます。もともと周りの環境は良かったので土手の電車だけがネックだったんですが、電車自体は土手の上(約10m)を走っているので音もそれ程でもないことに気がつきました。ましてや家の中であれば聞こえないと思われるレベルです。土手自体は大きくしっかりしているので揺れがなく、斜面が緩やかなので射光をさえぎることがない。むしろ前に家が建つ心配がないので東側から朝日を全面に受けることができる。土手は緑が生い茂り、木々もあるので見方によっては大きな庭のようです。さらに、土手があるおかげで接道の公道が行き止まりで、車が来ないので静かで安全。本当に時折走る電車の音だけでした。電車も高い位置なので余程の3・4階建ての家でない限り通常の2階建てであればプライバシーも守られる。

 と言うことで、この土地に決めました。ずいぶん悩んだ土地探しもこうして幕を閉じました。もともとこの土地は、駐車場だったところを地元不動産屋が買取り建売住宅として販売する予定だったようです。しかし土地に難があるので、デザイナー住宅として条件付き売地として販売する計画でした。その後デザイナー住宅構想が不動産屋の中で調整がつかず、とりあえず土地だけ売りに出したようです。そこに私が手を挙げて契約したので売主直の契約だったのです。おかげで媒介手数料(物件価格×3%+6万円)がかからずラッキーでした。その後、遅れ馳せながら、不動産屋から社内調整が取れたとのことで「デザイナー住宅」の提案を受けました。一応お世話になったので話は伺いましたが丁重にお断りしました。

 大手不動産のインターネット検索サービスではなかなか気に入った土地を見つけることができなかったのですが、意外にも特に期待もしていなかった地元不動産屋で土地を見つけることができました。その後も毎週チラシを見ていますがこの土地以上のレアな物件はまだ出ていません。今住んでいるところと同じ町内なので土地感があり、家族の生活基盤を変更することがなかったのは大きかったです。それと近所なので家を建築中は毎日見学(偵察)に行けるのも良い点です。最終的に納得のいく土地を手に入れることができたと思っています。