★ 地盤補強の設計について 【2005/11/18(Fri)


地盤補強の設計について / 佐藤建築構造事務所 [ Home ]

突然の不躾な書き込み大変申し訳ございません。

当事務所は建築構造設計事務所なのですが、地盤補強の設計も専門に行っております。

地震などの天災に関して保証されない現在の地盤補強について、設計の妥当性確認や、地震時までを考慮した設計を行うことでお施主様により安心感を得ていただこうと始めた事業です。

地盤補強工事会社や保証会社ではないため、純粋に設計のみを行って、コスト的にも設計根拠的にも適切なご提案が出来ます。
また、地盤設計のみなので価格も非常にリーズナブルです。

地盤に関するあらゆる質問やお悩みなど、是非お問い合わせください。
s-archi2@cyber.ocn.ne.jp
URL:
http://www18.ocn.ne.jp/~sseo/

失礼いたしました。


No.2556 - 2005/11/18(Fri) 11:45





Re: 地盤補強の設計について / ブルードレス [関東]

佐藤建築構造事務所さん 皆さん こんにちは ブルードレスです。
私は パルコン建設の際 東京地盤図から入った方ですから 地盤補強に対しては
非常に興味を持っております。
土地条件図とかも買ってきましたよ。東京地盤図は非売品の為 図書館で必要な箇所
コピーをとってきました。
東京地盤図の「4章 構築物の基盤としてみた東京地盤」は読み応え最高!
皆さんに是非 お奨めです。
関東ロームについても随分 調べましたね。
コロナ社から出版されている「地学のガイド」 これが面白いです。
これを読めばロームにもいろいろ種類があることが分かりますよ。
都道府県別に一冊に纏まっていて 地盤がどうなっているのか分かるんですよ。
関東地方の都道府県については とりあえずみんな 確保しております。
向学心に火がついちゃったんですよね。
僕って 地盤フェチですかね?
これからお土地を買われる方 是非 参考にしてみてください。


No.2562 - 2005/11/19(Sat) 09:44




Re: 地盤補強の設計について / NOCOSS

ブルードレスさん、こんばんは。でた!って感じです。
これがユーザー会のレポートの出ていた地層ウンチクですね。
ここまでやる人はあんまり見たないです。凄いと思います。
ここに来るユーザーってみんなプロの人みたいですね。
こんなディープ話題はここでしかお目にかかれませんよ。本当に。
だから、通うのがやめられないのです。


No.2564 - 2005/11/19(Sat) 19:17




Re: 地盤補強の設計について / ブルードレス [関東]

NOCOSSさん 皆さん こんにちは ブルードレスです。
家造りも夢があって楽しいし 掲示板の情報交換も勉強になって本当に楽しいですね。
我が家が家造りをはじめたきっかけは、 皆さんと同じような理由 具体的には
家賃がもったいない とか 子供の成長 という感じなのですが、家造りを始める時期
については かなり曖昧だったんです。
別に急ぐ必要もないし、そのうちでいいや と思っていたのです。
直接の引き金になったのは、スーパー マルエツに買い物に行ってレジのところに
並んでいたら たまたま「月刊 ハウジング」 が置いてあったんです。
暇つぶしに買っておくかと思い 買う予定でなかったものをたまたま買い物籠に入れたのがきっかけで 全てがスタートしたわけです。
笑っちゃいますね。 
一生の買い物が、本当に偶然のきっかけから 始まるのですから。
展示場に見学に行くのだって 別にお金がいくら貯まったから さあ行くぞ というのではなくて たまたま時間が空いてしまったから 時間つぶしに 行ってみるか 
って感じで全てがスタートしちゃた方も 結構多いのではないでしょうか。
でもそれをやったから今こうして皆さんと情報交換できるわけで その分 人生得した
な と思っております。
そんな訳で これからも宜しくお願い致します。


No.2571 - 2005/11/20(Sun) 12:56




Re: 地盤補強の設計について / kasa [関東] [ Home ]

NOCOSSさん、ブルードレスさん、こんにちは。

佐藤建築構造事務所さん、はじめまして。
「我が家のPalcon」へようこそいらっしゃいました!
当サイトの管理人kasaと申します。

本来商用の書き込みはご遠慮頂きたいところですが、家づくりに関連されているようですので、ご心配なさらずに。決して不躾な書き込みではありませんよ。

それにしてもNOCOSSさんも感じたようですが、ブルードレスさんの地層の話は奥が深いですよ。私も家づくりのユーザーさんで地層から入った方は見たことがありませんでした。
かなりマニアです(笑)本当に専門家のような方ですよ。


No.2578 - 2005/11/21(Mon) 00:21




Re: 地盤補強の設計について / 佐藤建築構造事務所 [ Home ]

管理人様、ブルードレス様、NOCOSS様、ありがとうございます。
管理人様にいたっては商用書き込みにもかかわらず、広いお心でお返事をいただき、感激しております。
ブルードレス様は地盤に関してかなり造詣く、勉強熱心な方だとお見受けし、脱帽いたしました。
今後も意義のある意見交換が出来ればと思っております。
何卒よろしくお願い申し上げます。

さて、皆様もすでにニュース等でご存じのことと思われますが、姉歯建築設計事務所による偽造耐震設計事件はかなり大きな波紋を広げていますね。
この事件に関してはまだまだわからないことも多いのですが、国、国が認定した民間検査機関、建築主など責任の所在について擦り付けあいのような様相を呈していますね。
現在住まわれている方々の心中を察すると同時に、設計に関するチェックシステムの甘さが露呈した一大事だと思いました。

しかし、私は長い間地盤設計に携わってきましたが、現状の地盤設計チェックに関しては建築以上にいい加減と言わざるを得ません。
住宅に関しては確認申請時に地盤設計の書類添付は義務ではありませんし、擁壁などの地盤補強に関しても、自治体によって基準やチェックがまちまちとなっています。

ビルや高層マンションなどの大きな建物はN値(地盤の強さを示す数値、大きいほど強い)50以上の岩盤まで現場造成杭や既成の杭でしっかりと支えていますが、住宅やアパートなどは建築側の判断に任せているのが現状です。

非常に恐ろしい問題は、今回の姉歯事件でも設計士が言及していたように、耐震設計を低減することで仕事の受注量を増やしていったというような悪しき慣習が他にもないとは言い切れないと言うことです。
地盤業界もいまは熾烈な価格競争になっており、コスト削減のしわ寄せが無理な工程やギリギリの設計など、いつか大きな問題に発展しないかと不安になります。

こうした現状を少しでも良くしていきたいとコツコツと啓蒙活動を行っております。


No.2583 - 2005/11/21(Mon) 10:11




Re: 地盤補強の設計について / ブルードレス [関東]

皆さん こんにちは ブルードレスです。
プロの方に誉められて ちょっと恥ずかしいです。
まあ 私の知識などは 全体をウサギ一匹に例えたとしたら せいぜいウサギの毛の一本位のものですから 趣味程度ということですよ。
本業の方は 様々な地盤に対して それぞれ適切な設計をしなければならない訳ですから まさに地盤工学は 経験工学と言われますように 知識のみでなく 豊富な経験も
必要とされる大変なお仕事なのですね。
そんなお仕事をされていらっしゃる方 尊敬しますよ。
私の場合は 管理会社さんに建物の管理をお願いして パルコンを建てて貰ったのですが、管理会社さんには SSのデーター分析から管理して頂きました。
その時 もし佐藤先生とお知り合いになれていたら おそらく地盤補強の設計をお願い
してたと思います。

というのは、どこの建築会社でも 地盤設計のミス 件数的には少ないかも知れませんがやっちゃてるみたいですよ。
管理会社さんのお話では、特に盛り土と切り土のある地域 つまり造成地で設計ミス
をやっちゃって その結果 不同沈下しちゃった なんて結構あるみたいです。
個人邸の場合 せいぜい3階建て程度ですから まさかN値50で層厚5M なんて
不必要でしょうが 第三者管理と同じ感覚で 地盤補強もきちんと管理してもらえれば
より安心ですね。



No.2587 - 2005/11/22(Tue) 08:42



Re: 地盤補強の設計について / 佐藤建築構造事務所 [ Home ]

ブルードレス様、皆様、こんにちは。
佐藤建築構造事務所です。

ブルードレス様のおっしゃる通り、宅造における事故は非常に多いと言えます。
とくに、擁壁のからんだ事故は不同沈下事故の代名詞と言っていいほど事故例が多く、造成時の地盤に対する設計の甘さが原因となっていることがほとんどです。

擁壁は特殊構造物で、常に土圧のかかっている状態であるため、設計には特別な配慮が必要です。
通常の建物のように単純に鉛直方向にのみ常に荷重がかかっているワケではなく、擁壁の場合は鉛直荷重の他に常に水平方向の力がかかってるからです。

当然、埋め戻す土の処理にも配慮が必要ですが、まずは擁壁の下の地盤設計をキチンと行うことが寛容です。

これまで私が業界の流れを見てきた中で、果たしてどのくらいの擁壁がキチンと手順を踏んだ地盤設計が成されてきたのか不安でしょうがありません。

地震が起こってから建物や擁壁に異変が起こっても、結局、天災は免責事項となっているため誰も責任を取ってくれません。
やはり事前のキチンとした設計がこれからは何よりの安心材料になっていくと思います。



No.2589 - 2005/11/22(Tue) 13:47



Re: 地盤補強の設計について / ブルードレス [関東]

佐藤建築構造事務所さん 皆さん こんにちは ブルードレスです。
パルコンのお話も楽しいですが、 地盤設計のお話も奥深くて非常に興味深いですね。
素人なりに以前から疑問に思っていた事が一つありまして、よろしかったらそれについて教えてください。
私は土地購入に際して柱状図を見るために 区役所の建築課に行きました。
担当の方は 非常に親切な方で色々なデーターを見せてくださって丁寧に説明して下さいました。
その中に 平板載荷試験のデーターがありました。
コピーはとらせてくれないのですが、ざっとは 見せてくれます。
疑問に思ったのは、その試験結果です。
住宅地図のような図面にデーターを採取した土地の地耐力がそれぞれ何tという具合に記されているのですが 同じような場所の土地でもデーターは まちまちだったですよ。
あまりはっきりとは覚えていませんが、同じ台地面の土地で4〜5tから10tという具合にほんと ばらばら でした。
試験方法が違うのかGLが違うのかよく分かりませんが 近隣同士の土地でも地耐力
ってそんなにバラバラなものなのでしょうか? 
 


No.2592 - 2005/11/23(Wed) 01:40




Re: 地盤補強の設計について / 佐藤建築構造事務所

ブルードレス様、皆様こんにちは、佐藤建築構造事務所です。

平板載荷試験は30cmの円盤を地表面あるいは少し掘削した地盤面に置いて、目指す地耐力の3倍まで重機や鉄板などで載荷重をかけていく調査法ですが、ここで肝心なのは「目指す地耐力」で、例えば調査地で予定される構造物によって必要とされる地耐力は異なるため、載荷試験の載荷レベルもその目標地耐力によって50kN/m2載荷、100kN/m2載荷などに分けられます。
例えば50kN/m2(5t載荷)の場合は地盤に載荷重を徐々に掛けていき、地盤の変化を記録しますが、150kN/m2を少し超える荷重をかけて終了となります。

なぜ3倍かというと、長期の地耐力として採用される数値は極限数値(実測値)1/3と決まっているからです。

目標値が50kN/m2なのに150kN/m2を超える載荷重を掛けても意味はないため、そのようなバラツキがあったのだと思います。
結果数値はその載荷試験が何kN/m2載荷によって決まるということです。

しかし、平板載荷試験は表層部の地耐力の確認にとどまるため、深度方向の地盤特性は全く反映されていません。
よって、ボーリングなどで深度方向の地盤データを得た上で総合的な判断材料の一つとして扱われるべき調査法となります。



No.2595 - 2005/11/23(Wed) 12:36



Re: 地盤補強の設計について / ブルードレス [関東]

佐藤建築構造事務所さん 皆さん こんにちは ブルードレスです。
早速のご回答 有難う御座います。
解りやすくご説明戴き感謝申し上げます。
個人邸の場合には表層部が重要なのでしょうから、SSとか平板載荷が適しているので
しょうね。
 地盤の歴史というのは 第三紀層から埋立地まであるわけで、しかもその上に
どんな土地であろうが構築物を造っているわけですから その設計というものは、
必然的に複雑になってくるものと思われます。
しかし今回の姉歯事件を知ってしまうと日本の建物の設計 本当に大丈夫なのか心配に
なってきますね。
この間 書店で杭に関する本を買ってきて読みましたところ、杭というのは鉛直支持力
だけでなく、地震時には水平支持力 更に地盤沈下する地域では 沈下とともに
引きずり込もうとする力に耐える力 までも持ち合わせていなければ 駄目みたいな
事が書いてありました。
本当に縁の下の力持ち ですね。
コスト削減とか 下請け任せ とかでいい加減な杭打ち で済ませてしまったら
きっと後でしわ寄せが 来るのでしょうね。



No.2596 - 2005/11/23(Wed) 18:03



Re: 地盤補強の設計について / kasa [関東] [ Home ]

ブルードレスさん、佐藤建築構造事務所さん、こんにちは。

一通り読みましたが、完全にお二人だけの世界になっていますね。
誰もついてこれません(笑)

姉歯設計事務所の件が大きな波紋を呼んでますよね。非常に心配です。



No.2597 - 2005/11/23(Wed) 22:42


Re: 地盤補強の設計について / 佐藤建築構造事務所 [ Home ]

管理人様、ブルードレス様、皆様、こんにちは、佐藤建築構造事務所です。

これまでの書き込みが専門的に行き過ぎてしまっていたようで、わかりづらく申し訳ございません。

皆様のご質問には出来る限りわかりやすく回答出来るよう、がんばります。

ブルードレス様の書き込みにあった杭に関してですが、さすがに勉強熱心な方だなーと感心するとともに、懸念されているコスト削減のしわ寄せに関しては、同感と言わざるを得ません。

地盤補強の種類には大きく分けて@地盤改良、A杭工法があるのですが、建物荷重を支持する上で、この両者はまったくその機構が別物となっています。
Aの地盤改良がセメント系の固化材などでケミカルに地盤自体の強度を向上させて建物荷重を支えるのに対し、@の杭工法は単純に杭の支持力のみで建物を支えます。
よって極端な話、家の下に土が無くても杭だけで支えていられるということです。

杭工法は杭1本当たりの支持力がわかれば、単純に建物荷重を支持力で割って必要本数を出すことで鉛直支持に関する設計はほぼ終わりと言っていいほど簡単な設計となりますが、実はここに大きな落とし穴があります。

例えば、杭1本当たりの支持力を求める際に、どのくらい堅い地盤まで杭を打ち込むのかによって支持力が変わってくるのですが、仮に1本当たりの長期支持力が50kN/本だとして、建物荷重が1000kNであれば、1000÷50=20本となります。
この家には20本の杭があればOKとなってしまいますが、この必要最低限の20本の杭を割り振ったときに、杭の間隔が3mとか4m近く開いてしまう場合があります。
この杭と杭の間は土以外何も無い状態になってしまい、当然この杭間の基礎にも荷重はかかるため、基礎を下に曲げるモーメントが常に働きます。
この時、基礎の厚みや鉄筋の太さや量によってはその曲げモーメントに耐えられず、亀裂などを発生することがあるのです。

これは問題例のほんの一例であり、実際の杭の設計にはブルードレス様のおっしゃる通り、地震時の水平力や引き込み力などを考慮した設計が必要です。
しかし、一般住宅において、地震時の水平力まで考慮した計算書が出されることはごく希で、単純に建物の重さに必要な本数のみを割り出して設計されていることが非常に多いと言えます。



No.2601 - 2005/11/24(Thu) 10:07




Re: 地盤補強の設計について / ブルードレス [関東]

佐藤先生 皆さん こんにちは ブルードレスです。
いつも 我々 素人に 解かり易くご説明戴き有難う御座います。
パルコンについては 大丈夫かな? と心配なところですが、一応地震に対する安全性
については 私 ブルードレスがレスNO 2411で10/24日 スレ しましたとおり
まずは安心といった感じです。
杭につきまして 先生より大変貴重なご説明を戴きましたので、今度はそれに関連して
RES−P工法について私なりの感想(素人ですが)を述べさせて頂きたいと思います。
これって一定の粘性土地盤にしか適用できないのですが、鉛直力しか負担しないみたいですね。
勿論優れた工法だと思いますが、 というのはRES打ちによって地盤がパンパンになるんですよ。支持杭的扱いと摩擦杭的扱いがあるし コストも安いし確かに N値3のロームでもN値5として扱ってOKだと思います。
液状化による沈下については一定の砂質地盤で地下水位が高くないと起きないはずですから まずRESを打てるような地盤では考えなくてよいと思います。
素人なりに心配なのは 地震時に水平加重を受けた場合 或いは 地盤移動が起きた場合 RESだけの支持力ではちょっと厳しいかな と思います。
それはRESを小口径鋼管杭のプチ版と考えたらの話ですが。
RESを地盤改良と考えた場合 水平加重だの地盤移動だのあまり関係ないような気もします。
でもNO2411 にあるとおり万一 ちょっと位 建物が傾斜したとしても、ジャッキアップして直せば また住めますよね。
まあそんな事を心配しなくても大成さんがちゃんと造ってくれた家なんだから まずは
安心して明日の仕事の心配をした方がよい事は 承知しているのですが、一応僕の場合は仕事以外の趣味といいますか 好きでやっているんですよね。
設計者の方々には大変申し訳ありません。
大変重要な学問を気楽な立場で中途半端にかじりまして すみませんでした。


No.2606 - 2005/11/24(Thu) 23:31